私の地方では5月に入ると孟宗竹の筍が生える。少し遅れて真竹の筍も生えてくる。孟宗は煮付に、真竹は新ジャガと味噌汁になって、子供のころは毎日食べさせられた。今や子供も減り、空地や周辺に広がる筍は厄介者である。昔はどこの村にも篭屋さんがいて、竹を細工して篭や笊などの日用品を作っていた。田のおだをはじめ、日常生活に竹はなくてはならない材料だった。便利さと効率の名のもと、それらはいつの間にか石油製品に代わってしまっている。もったいないと思いつつ、厄介者と成り果てた筍を切り捨てながら、何か大切なものを失ってしまったように感じるのは私だけだろうか。